立会い出産に関する追記

妻でない方です。

 

私は「状況が許すならば」と前置きして立会い出産を強く希望していたので、出産には立ち会わせてもらいました。多少のグロはあるものの、立ち会えた事は良かったと思うし、出産の現場を体感する事で多少なりとも父親としての自覚が芽生えた様に思えます。

 

出産後、「父親はすべからく立ち会うべきだ!」と息巻いていたを起点に実際の立会率はどんなものなのか気になって調べてみました。

 

2013年発行の母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査の「RQ2. 分娩期に医療者以外の付添い(立会い)が居るか?」によれば経膣分娩での夫の立会率は2006年の39%から2011年の59%へ有意に増加したとある。

体感では多くても40%ぐらいだと思っていたで60%近い数字は意外。ただ、5年で20%を維持すると2015年現在では79%になっていなければならないが、これは主観的起こらなかったと見えるので、夫の立会率6割前後がスイートスポットなのではないかと思う。日本には里帰り出産における出産時の夫の不在や、夫の仕事でプレゼンティーイズムによる不在など社会的に夫がいない背景もあるのが数字の伸び悩みの原因の原因なのではないかと考察する。

 

これを海外の統計とくらべるとどうなのか。探してみた所、英語圏では立会はあまりに一般的で統計としては取られていない様であるが、BBCとガーディアン紙に面白い記事をみつけた。

 

BBCの記事では1950年代にはお産の現場には男性の姿はなく、男性が立会を望まず、女性もまたそれを望まなかったと書いている。

1948にNHS(国民保健サービス)の設立以来、お産の現場が家庭から病院にうつりだし、先進的な病院では1951年ごろから男性にお産に立ち会うように勧めていたものもあるとするなかで、1960年代後半から1970年代前半で少数派であった立会は70〜80%まで伸びたと書き。これは1970年代にお産の現場が病院にシフトした際に見知らぬ施設でお産をする女性が精神的サポートをパートナーに求めたからであると推測している。

ガーディアン紙の記事では現在の夫の立会率は優に90%を越えるとしている。

 

どちらの記事もMichel Odent (Wikipedia)氏の女性ホルモンの一種であるオキシトシンは女性が人やテクノロジーに囲まれていない方が出やすいとして、立会は不要論を紹介している。オデント氏によれば、男性が立ち会う事で女性は緊張してしまい、オキシトシンの分泌を悪くし、お産を長引かせてしまっており、それが英国での24%帝王切開による出産に繋がっているとの事。

BBCの記事では1962年の論文では父親が立ち会う事で女性がリラックスする効果があるとしていますし、「母親が望む安全で 満足な妊娠出産に関 する全国調査」においても夫の立ち会いは満足と関連が見られたとして、立ち会いには少なくとも精神的なプラスがあるように書いてある。

www.bbc.com

www.theguardian.com

 

この父親立会不要論をオデント氏は1999年には唱えていたようですから、筋金入りですね。

www.midwiferytoday.com

 

上記のBBCとガーディアン紙の記事の同時期にデイリーメイル紙に掲載された記事ではやはりオデント氏を引用しているが、1970代以降の病院での出産の増加にともなうメディカルスタッフの不足が立会人の人足として扱うが故に父親に立会を促しているともしている。

www.dailymail.co.uk

 

読むに一部の医力関係者は夫が立ち会うのは不要だと強く唱えているが、情緒的には女性側も男性側も立ち会った方が良い、という構図が見えてきた様に思います。お産を長引かせるという意見を聞くと躊躇しますが、妊婦に失せろと言われない限りは傍らにいて身体的、精神的サポートをするのが夫の努めだと私は思います。