産んだ日の出来事

 予定日過ぎたので焼肉を食べに行ったら、食べ終わった直後に陣痛が始まった。最初は生理痛のような痛みが来て、これがそうなの?と戸惑っていたが、計ってみたら6〜7分間隔だったので多分そうかな、と思い慌てて帰宅。お風呂に入って髪を洗い、産院に電話したら取り敢えず来てみて、とのこと。

 
 NSTを一時間やってみたところ、間隔が8分くらいなこと、子宮口はまだ3cmくらいとのことで一時帰宅。間隔が3〜5分になったらまた来てと言われる。この時点で夜中の1時くらい。ここから本格的に痛い陣痛が始まり、眠りたいのに眠れない、意識が朦朧としながらアプリで計測をする地獄の夜がスタート。
 明け方、5時くらいに3〜6分くらいになったので、隣で寝ていた夫を叩き起こして産院へ。
 
 NSTを付けてみたら、陣痛の度に胎児の心音が下がることが判明。すぐに酸素マスクを付けられて、深呼吸して〜と言われるが痛みの最中にそんなこと出来るか!と苦しみながらなんとかやってみようとする。が、姿勢を変えても深呼吸を頑張っても、どうしても心音が落ちる……。これ、モニタから大変よく聞こえるので、とってもプレッシャーになった。
 
 お陰で、赤ちゃんが苦しがっているので早くお産しましょうとのことで促進剤を入れられた上に、希望していた和痛分娩は叶わず(うとうとする薬を注射するタイプだったが、これをするとお産が長引く可能性があるとのこと)。
 陣痛の度に夫に尻を揉ませ、朝ごはんは一口も口に出来ず。悔しい。何か食べねばと思い、ウィダーインゼリーエネルギーを2/3程摂取。
 腰を上げると良いかもという助産師さんのアイディアが採用されたらしく、腰の下に何個かクッションを積まされて、上半身を深くリクライニングさせて頭を下げた体勢にされる。少し効果があったようで、継続することに。頭に血が昇る……。
 
 緊急帝王切開まで視野に入りそう、となって、そこから飲食禁止。辛い。
 でも促進剤投入から2時間程してから、ようやくいきみが来て、プツっとなにか弾けたような感触があり、破水。そこからは通常分娩で行けそう、となる。ここでようやく水分摂って良くなり、ペットボトルのお茶を飲んだ。このあたりでもう、昨夜一睡もできなかったため体力がほぼ尽きていて、早く出てきてくれ!!!むしろ帝王切開にしてくれ!!!!!と心中で叫んでいた。このへんで「もうやだ!」とか「無理!無理!出来ない!やだー!」とか叫んでいた気がする。知性の低下。
 
 何度かいきんだあと、やっと椅子が分娩モードに組み変わり、その後また何いきみかしてから先生が呼ばれる。いきむ間、喉に力が入りすぎて「ん゛〜〜〜〜!」しか言えなくなる。でもなかなか出ないので吸引することに。なにか同意書みたいなものにサインが必要らしいが、当然のように無理なので立ち会っていた夫が代理人でサインしていた、と思う。なにやら「いいですね?!」って確認されて無言でガクガク頷いた記憶ぐらいしかない。
 
 そしてあれだけ回避したかった会陰切開……。だけどもう嫌ですとか言う体力も残っておらず、涙目で頷くことに。最後はいきみ続ける体力もなく、二度に分けていきむこと数度、なんかパチンと切られたような気がしつつ、お腹を力いっぱい押されて一番の痛みと共に一気に何か出た。
 
 その痛みのショックで朦朧としているところ、胸の上に青いシーツを敷かれて、赤子が乗せられた。某然と五体満足なのを確認して安堵したら別室へ連れて行かれた。夫も共にそっちへ行った。その後ずるりと胎盤が出て、これが出ないと手を突っ込まれて引きずり出されると聞いていたので心底ホッとする。しかし会陰切開したのにも関わらず、更に裂けたらしいと聞き泣きそうになる。
 チクチク縫われている間は、出産の痛みに比べれば遥かにマシだったので然程痛くは感じなかったが、意識を向けると痛くなりそうだったので、先生や助産師さんと意識的に雑談をする。
 
 終了後、もうどこにも何も力が入らず、かつ体温が急激に下がった感じがして寒くて寒くてブルブルガタガタ酷く震えていた(後から聞いたところによると、失血のせいだった模様)ら、椅子を通常モードに戻して電気毛布をかけてくれた。2時間はこの部屋でこのまま過ごすとのこと。助産師の一人が付きっ切りでお世話をしてくれた。まず胎盤を見せて触らせてくれた。レバーの塊だなこれ。まだ生暖かいそれをじっくり触って写真を撮って満足。戻ってきた夫もじっくり見て撮ってた。
胎盤と助産師さんが去り、夫と二人だけになる。
 
「感想は?」と聞いたら「感動した」との答え。
 少し涙ぐんでて、それを見て、ああ、産んだ甲斐があったな、と、実感した。
 
 助産師さんに「お昼ご飯食べます?赤ちゃん先に会います?」と二択を示されて、とりあえず後者を選択したらキレイにされた赤子が戻ってきて、やっと落ち着いて我が子を見た。乳を含ませたら即座に吸い付いて、もうずーーーーっと吸いまくっていた。……初めは上手く吸えないと聞いていたので予想外。そして乳首とても痛い。付き添いを途中で両親に代わったが、それでもなおずーーーっと吸い続ける子。途中で切り上げて連れて行かれた。
 
 この時点で昼過ぎ。朝食は供されたものの一口も食べられなかった悔しさから、ここで運ばれてきた昼食は完食。しかしそこでエネルギー切れ。
 
 その後トイレに行かされたが何も出ず、部屋まで歩けますか?→無理です、の問答があって車椅子移動。個室が空いていたのでそこへ入り、ベッドに転がる。
 
 陣痛開始から約14時間。ずっと付いていてくれた夫に最大限の感謝を伝えて寝落ちする。
 お疲れ様でした。